「自分の目指す農業」  本間 貴 (中央1区)

 当麻町に来てから4年が過ぎようとしています。大学進学を期に始まった私の北海道生活はもう何年か経つと地元、新潟にいたころと同じくらいの年月になろうとしています。地元のなまりもすっかり影をひそめています。
 私の実家は米農家で小さい頃から「いつか農業やろう」みたいなことを考えてました。それで農業を勉強したいという想いで北海道に来たので、大学卒業後は地元に戻るつもりでいました。
 しかし、親から「好きなことをやれ」と言われ、北海道に来てすぐに知り合った彼女(今の嫁)の存在もあり、北海道でいつか農業をやりたいと考えるようになりました。と言った所で私には何もなかったので、まずほかの世界の勉強だと思い、道内スーパーの青果売場に就職しました。販売をすることのおもしろさ、難しさを経験し、「この道もいいかな」と一時期思いましたが、転勤の多い落ち着かない生活などに嫌気がさし始め、本腰を入れて農業に進もうと決意した訳です。
 そうしてたどり着いたのがこの当麻町です。来たばかりの当時、私は好きな仕事をしているからいいものの、嫁には小さい子ども1人と、全く知らない土地環境に来たことで、かなり苦労をかけました。私はそのとき初めて、家族を持つことの責任を感じ、自分ひとりで動き回っていたなと考えさせられました。
 今では町内の方々の支援も厚く、友人、知人もでき、小さい子ども2人と大きい子ども1人と3人もの面倒を見させて、別な苦労をかけています。
 今後、自分が経験してきたことを農業に生かしていきたいと考えるのはもちろんですが、家族が笑って生活できる農業の形というものを探して、がんばりたいと思っています。

(2009年4月号・広報とうま掲載文より・第31回エッセー)