「クロスカントリーの指導」美頭勇二さん(開2)

 クロスカントリー少年団は、小学校の先生方、父母の見守り、夏場の陸トレコーチ、メニュー担当の先生、コースを管理するコーチ、外部コーチと、さまざまな方の協力によって成り立っています。シーズンに入れば、小中学生すべてが同じ環境の中で活動する。他の地域を見ても、この様なスタイルはまれで、スキーハウスに入ると二十数名の子供達は、和気あいあいとなる。
クロカンは、コースに出れば誰も交代はいなく、過酷なスポーツの代表とも言えるが、小中学で頑張った子供達は立派な特技の一つとなる。時には吹雪の中、しばれの中も競技は行なわれ、体力だけではなく精神的にも強さと、ねばり強さが求められます。今年、ある大会のリレーでの出来事。かなりの緊張をして競技を迎えた彼女達、たすきはアンカーへと渡された。チームの気持ちを託された彼女は、コース途中で転んだのか帽子を置き去りにして来た。顔つきを変えて頑張る姿を見た母は、「あんな真剣な顔は一度も見た事がない」と感動していた。きっと彼女は、みんながつないだたすきをゴールへと必死になって向っていたに違いないからだ!成績はどうであれ、一生懸命に頑張った事をほめてあげたい。
私が指導者として十数年が経ち、本業では味わう事の出来ない数多くの経験をさせて頂いた事に感謝しています。競技をする以上、強い選手に育ってほしいのは当然とも言えるが、それ以上に、チームメイトを思いやる気持ち、お世話になっている方に感謝する気持ちを持てる人になってほしい。これからも、スキーを通していろいろな事を学び成長する手助けになれればと思います。

(2016年3月号・広報とうま掲載文より・第107回エッセー)