「田んぼの教室」 山下博昭さん(5東2)
北海道の厳しい冬が終わりを告げ、新たな生命が芽吹く春には、この当麻町に美しい田園風景が広がる。そんな、美しく、穏やかな田園風景だが、田植えの時期になるとある田んぼから楽しそうな、時には悲鳴にも似た子供たちの声が響き渡る。ある田んぼとは水土里ネットとうま(当麻土地改良区)主催の「田んぼの教室」である。代掻きが終わった田んぼにコロを転がし、植える場所に印を付ける。ポットから苗を取り、舟に苗を並べ、靴を脱ぎ、準備ができた児童から次々に田んぼに入っていく。あちらこちらから「キャー!!ぬるぬるするー!!」「気持ち悪いーー!!」「足が抜けないーー!!」「めっちゃ楽しい!!」「終わったから手伝うよーー!!」… 毎年恒例の悲鳴にも似た声が田んぼの中で飛び交う。今年で14回目の開催となり、前任者から田んぼの教室の担当を引き継いだのは3年前である。
もっと子供たちに伝えられることはないのか…。だが授業時間数は限られている。農業関係者として次世代を担う子供たちに何を伝えていくべきか…。インターネットで調べたり、新聞も切り抜いた。伝えたいことはたくさんある。その中でも「安心・安全な食べ物」「地産地消」この2テーマを中心に授業を行いたいと思った。上司や同僚も理解してくれた。カリキュラムや授業の進め方を見直し、より児童の記憶に一つでも多く残るようクイズを取り入れたり、言い回しを工夫した。出来秋を迎え、全ての授業が終わり、まとめに入った。「山下さんはこの田んぼの教室で何度も言っていた言葉があります。わかる人いますか?」と担任の先生が言った。「当麻のお米や野菜をたくさん食べること」「安心・安全」「地産地消」。あの言葉が出てきた。先生の配慮もあり、皆が大人になっても忘れないようにと「安心・安全」「地産地消」児童たちは大きな声で何度も復唱してくれた。支えてきたスタッフの想いが児童たちへ確かに伝わっていた。嬉しかった。それと同時に児童たちの姿を見て胸が熱くなり涙が込み上げた。
今年から、当麻町による「田んぼの学校」が始まる。「田んぼの学校」では、食と農を通じて心を育む様々な事業を展開していく。土地改良区も共催として引き続き取り組みを行っていくが、「田んぼの学校」は、地域コミュニティの場として様々な可能性が広がっており、今から待ち遠しく、今年は何をしようか楽しみで笑みがこぼれる。
(2015年4月号・広報とうま掲載文より・第97回エッセー)
もっと子供たちに伝えられることはないのか…。だが授業時間数は限られている。農業関係者として次世代を担う子供たちに何を伝えていくべきか…。インターネットで調べたり、新聞も切り抜いた。伝えたいことはたくさんある。その中でも「安心・安全な食べ物」「地産地消」この2テーマを中心に授業を行いたいと思った。上司や同僚も理解してくれた。カリキュラムや授業の進め方を見直し、より児童の記憶に一つでも多く残るようクイズを取り入れたり、言い回しを工夫した。出来秋を迎え、全ての授業が終わり、まとめに入った。「山下さんはこの田んぼの教室で何度も言っていた言葉があります。わかる人いますか?」と担任の先生が言った。「当麻のお米や野菜をたくさん食べること」「安心・安全」「地産地消」。あの言葉が出てきた。先生の配慮もあり、皆が大人になっても忘れないようにと「安心・安全」「地産地消」児童たちは大きな声で何度も復唱してくれた。支えてきたスタッフの想いが児童たちへ確かに伝わっていた。嬉しかった。それと同時に児童たちの姿を見て胸が熱くなり涙が込み上げた。
今年から、当麻町による「田んぼの学校」が始まる。「田んぼの学校」では、食と農を通じて心を育む様々な事業を展開していく。土地改良区も共催として引き続き取り組みを行っていくが、「田んぼの学校」は、地域コミュニティの場として様々な可能性が広がっており、今から待ち遠しく、今年は何をしようか楽しみで笑みがこぼれる。
(2015年4月号・広報とうま掲載文より・第97回エッセー)