「当麻町民となって」  安立 由子さん (東1)

 当麻町民の仲間入りをさせていただいたのは2001年、21世紀の始まりの年でした。(最近夫に言われて知ったことですが)引越しして10年と3カ月、あっという間の歳月です。
友人の案内で初めてこの山道を通った日の感激は忘れられません。あの時はまだ砂利道だったこの道道の両側には松や広葉樹の林があって、昼でも薄暗いほどでした。
こんな林の中で暮らせたらどんなにいいかしら、と夢が膨らみました。それまで5年間探し続けた場所がそこにありました。
 役場に行き山の持ち主を調べていただき、そのお宅を訪ねました。田んぼで耕運機をかけておられた地主さんは、私たちのあそこに住みたいという希望にあっさりと応えてくれました。「住むのはかまわないよ」天にも昇る心地とはあのことです。その時の役場の人の対応や地主さんの印象から、当麻はいい町だなぁ…と感じました。
 念願叶って暮らし始めて10年あまり、その好印象は少しも減ずることなく今に至ってます。
大好きな野草たちに囲まれた山での生活はこれまでになかったほど豊かです。裏の沢にはきれいな水が流れ、数年前にはニホンザリガニが当麻ダム工事から避難してきました。
 虫が豊富で写真を撮るうちにすっかり好きになりました。熊さんもいるけど、小さな可愛い動物も顔を見せてくれます。こんな素晴らしい山での暮らしを認めていてくださる当麻町に心から感謝しています。
ありがとうございます。

(2012年2月号・広報とうま掲載文より・第62回エッセー)