「ステキ探し」  吉野 みか さん (4南3)

 当麻町に引越してきて、今年で12年になろうとしてます。そのころは知り合いも誰もいない土地に来て、不安と寂しさで「札幌に帰りたい」と思ってました。
ちょうど11年前の春の日、子どもたちをサッカーの練習に送った帰り道、田んぼに目をやると…「うわっー!!きれい!!」水の入った田んぼに大雪山がきれいに映ってました。涙がこぼれそうなほど、感動しました。
 この日を境に「札幌に帰りたい」から「当麻を楽しむ」に気持ちが変わったのです。天気のいい日はカメラ片手に当麻のステキを探しにいろんな所に出没しました。(不審者だと思われ、パトカーが私の後について来たことも…)
 田んぼの畦道の緑が深くなり、水が入って溺れそうな苗がどんどん大きくなり、田んぼが緑の絨毯から金色の絨毯に変わる…空が燃えているような紅から紺碧に変わり、降りそそぐような星空。冬のしばれた朝、ピーンと張りつめた空気…キュッキュと鳴る雪。大雪山がきれいに見える日はなんだか心がうきうきになる。子どもたちはすれ違いざま「こんにちは」と大きな声であいさつしてくれる…ほんと、当麻にはステキがたくさんあふれてます。
 私に当麻のステキに気づかせてくれたあの春の日。当麻の風・山・水・彩・香り…そして友人たち…すべてに感謝です。これからもステキをたくさん見つけて、いろんな人に伝えたいです。なんたって自称「当麻観光大使」ですから。ステキ探しはまだまだ続きます。

(2012年6月号・広報とうま掲載文より・第66回エッセー)