「大事なのは変わっていくこと、変わらずにいること」安口貴之さん(3東3)

 歌手・槇原敬之さんの「遠く遠く」という歌の1フレーズをタイトルにさせていただきました。故郷や仲間への想いを歌った曲です。
 教師という仕事をさせていただいていることもあり、多くの子どもたちや保護者・地域の方と触れ合う機会があります。当麻に来て3年目に入り、タイトルに書いたことをさらに強く想うようになりました。
 今、子どもたちを取り巻く環境が激変しています。機械や人工知能が発達し、小学校でも「プログラミング」の授業が必修になります。英語や道徳も「教科」となり扱いが変わります。私自身も教師として変わっていく必要があります。
 でも当麻の子どもたちを見ていると、本当に大事なのは何なのか、考えさせられます。虫取り網を持って走り回る姿、泥だらけになってお母ちゃんに叱られている姿、夏休みにおじいちゃんやおばあちゃんに会えるのを心待ちにしている姿、「先生!“1+1”は?」「2でしょ?」「ブー!田んぼの田でした♪」という姿など・・・。30年前の自分の時代と何ら変わらない、素敵な子どもらしい姿がここ当麻にはあります。
 大人も世の中も、成長という意味で変わっていかなければならない部分が確かにあります。しかし、絶対に変わってはいけない部分もあるのではないでしょうか。それを個人で考えると【自分らしさ】というのだと思います。

 テストの点数も大事です。自己実現の幅が広がるからです。ただ、自ら命を絶つ子が絶えない昨今、この【自分らしさ】を見つける手伝いをして、自分らしく生き抜く子を育てることが、教師として本当に大事なことであると信じたいです。

(2017年9月号・広報とうま掲載文より・第124回エッセー)