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「今まで通りは退化」「1%の喜びは99%の辛抱から」二つの言葉の重さ(平成29年2月号掲載)

正月休みの楽しみの一つに、箱根駅伝のテレビ観戦がある。
母校の伝統と自らの夢をタスキに詫し、苦痛に顔をゆがめながらタスキをつなぐ光景は、日本人の心を揺さぶる何かが潜んでいる。
今年も予想どおり青山学院の圧勝であったが、原監督と選手の絆の太さが優勝の最大要因であることは、素人目の私にも十分理解できた。
原監督は、出版された書籍の中でこう記されている。
「監督就任前の営業マン時代に学んだのは『業界の常識を疑うこと』だった。陸上界に戻ってきて、自分の現役時代と変わらない常識が通用し、指導方法も全く変わっていなかった。それは『退化』と感じた。」
昨年の箱根駅伝で2連覇を達成した時、原監督は手短にこのことを話されていた。
「進化しなければならない。今までどおりは退化である。」
私は早速、職員訓示の折、監督の言葉を使わせていただいた。
「役場も“前例に従って”、“今までどおり”は退化である。明日から何ができるか、町民は役場に何を求めているのか、私たちが進化しなければ町は良くならない」と、少し語気を強めながら話させていただいた。
松の内も明け、稀勢の里の優勝も私たちの心を熱くさせてくれた。
今までの辛抱と、支えてくれた人々への感謝の気持ちは、頬を伝う一筋の涙がすべてを物語っていた。
中学の卒業文集には「天才は生まれつきです。もうなれません。努力です。努力で天才に勝ちます」と記され、母校の中学校での講演会では「相撲に勝ち、お客さんが喜んでくれる笑顔を見る1%の喜びが、99%の厳しさや辛さを全て忘れさせてくれる。だから辛抱して自分の信じる道を進むのが何より」と、後輩たちに語った言葉が紹介されていた。
表彰式のインタビューで、あふれ出る涙がその気持ちを代弁していた。
発する一言一言に人柄がにじみ出ており、聞く人読む人の心をとりこにしてしまう。
相撲の神様は、稀勢の里に長い間試練を与え続けたが、大関は負けなかった。
一回り大きめの、“あっぱれ”をお贈りしたい。
人間関係は“希薄”になったと言われて久しく、今はさらに薄らぎ
“分断”とまで言われているが、稀勢の里の優勝で日本の心が一つになったことに何かほっとする。
2つのスポーツでの感動を心に刻み、新しい年はスタートした。

(平成29年2月号・広報とうま掲載コーナー・第150回随筆)