リオ五輪が教えてくれた東京五輪が伝えるべきもの(平成28年9月号掲載)

オリンピックの夢の続きは、リオデジャネイロから東京へバトンタッチされた。
17日間の熱闘は、私たちにスポーツの素晴しさと、友情の尊さをあらためて伝えてくれた。
町民の皆さまもテレビに釘付けとなり、寝不足の連日だったと思う。
私もその一人であり、早めに床に就き、深夜や早朝に目覚しをセットし、オリンピックを中心とした生活サイクルだった。
スポーツ観戦は、録画ではなくライブが一番と信じているので、時間との戦いの日々であった。
選手の活躍は、たくさんの感動と新たな歴史を作ってくれた。
逆転また逆転のレスリング、歴史を作ったバドミントン・卓球、お家芸復活の柔道、世界一の美技の体操、水の王者出現の競泳と、金メダルを称えた文言が新聞紙上をにぎ
わす。
銀メダルで涙にくれ、銅メダルに大喜びする場面も数多くあった。
柔道・レスリングなどの格闘技は、決勝で敗れた悔しさが銀メダルの涙となり、一度敗れ、折れかけた気持ちを見事立て直し、奪い取った銅メダルに喜びの気持ちが表れていた。
特に印象深かったのは、レスリングの吉田沙保里選手の銀メダルで
ある。
「銀メダルで申し訳ない。主将として金メダルを取れなくてごめんなさい」と、敗戦後のインタビューに号泣する吉田選手に、「そんなことありませんよ」と声を掛けるアナウンサーの言葉は実に温かく、聞く者の心を打つ。
テレビ画面に映し出された視聴者からの応援メッセージは、「いま、吉田選手にかける言葉は見つかりません。日本中のみんなが、あなたを抱きしめたいと思っています」…国民の声を代表していた。
数々のドラマを生み、五輪旗は東京都の小池百合子知事に引き継がれ、東京オリンピックはスタート
した。
新国立競技場の建設、エンブレムの盗用問題とトラブル続きのスタートであるが、リオは私たちに貴重な教訓を与えてくれた。
財政難の開催国ブラジルであったが、大会経費を絞り豪華さを抑えたことが、五輪の原点であるスポーツの素晴らしさを写し出していた。
あの東日本大震災の折、世界の人々は、温かい心と祈りを我が国に寄せていただいた。
施設の豪華さを競うのではなく、感謝の気持ちを世界に届けたい。
4年後、ありがとうとおもてなしの気持ちで迎えることを心に誓い、リオオリンピックに別れを告げた。

(平成28年9月号・広報とうま掲載コーナー・第147回随筆)