変わってはいけないもの 変えてはいけないもの(平成27年9月号掲載)

先月号でも触れさせていただいたが、新国立競技場の建設予算は2,520億円から1,550億円に、たった一カ月間で1,000億円もの予算変更に、頭がついていけない。
中国人観光客による爆買いは、日本経済そのものも押し上げているとの報道にも心がすさむ。
昨今、世の流れが、あまりにも急ぎ、かつ荒らすぎてはいないだろうか。
TPP交渉の行く末で食文化が壊れ、命を救う医療から、お金で命を買う医療に追い込まれてしまう心配が募る。
戦後70年の節目の年を迎え、TV・新聞などで戦争にまつわる報道が数多く組まれている。
一つ一つの話に胸が詰まり、尊い命を捧げられた先達に深くこうべを垂れ、二度と起こしてはいけない反省と決意を胸に刻み込む。
70年の歳月は、文化も社会も大きく変えてしまった。
この変化に、私たちの心はついていけたのだろうか。
国は地方自治体に、少子高齢化に対応すべく、子育て環境の整備を促してきた。
求められたからではないが、各々の自治体は財政状況が厳しい中でも、その努力を欠かすことはなかった。
ここに来て、今度は、都会の高齢者を地方に移住させる施策に取り組むとの情報である。
それもこれも、都会では子育てや高齢者の介護施設整備には限界がある、との理由にあぜんとさせられる。
ネット社会の出現で、活字や紙の文化も遠のいていく。
20年後、30年後の社会のありさまが心配になってくる。
永六輔さんが七円の唄で活躍されていたころ、ラジオで読まれた一通のハガキに心が洗われる。

―美人になれるかな―
ある日、八歳の娘が私に
「おかあさん、私、美人になれるかなあ」
「そうね、美人になれるかどうかわからないけど、おかあさんぐらいにはなれるんじゃないの」
すると娘「お母さん美人だよ」
私「えー。じゃどういうのが美人なの」
娘「思いやりがあってやさしいから」
私は言葉が出なかった。
世の中、やっぱりお金かなあと思いかけていた近頃。
娘のひと言に背すじがピーンとした。

(平成27年9月号・広報とうま掲載コーナー・第137回随筆)