“挑戦”という宝もの (平成27年3月号掲載)

 2月末、6名の女子高校生が卒業挨拶のため役場を訪れてくれた。3年前、当麻中学校を巣立ったソフトテニス部の仲間である。進んだ高校は違っても、6名共テニスラケットと別れることはなかった。
 中学・高校の在学6年間、全国大会への参加報告のため、何度も役場に足を運んでくれた。当麻中学校で身に付けた礼儀の正しさは失われることなく、お会いする度に清々(すがすが)しい空気を残してくれたものである。6年間、数々の全国大会に出場し活躍できたのは、町からの応援あったからこそと、感謝の気持の来庁であった。
 6名を代表して挨拶された泉田歩聖さんの言葉は、あの日の感動の場面に私を引き戻してくれた。「6年間の一番の思い出は、中学3年生時に行われた中体連団体全国準優勝の時である。6人で築いたあのすばらしい思い出を胸に、これからも頑張って歩んでいきたい」。
 2011年8月19日、奈良県明日香の森で行われた決勝戦、私も多勢の町民応援団の一員として、コートサイドで声をからしていた。両組相譲らず、最後の1本で決した勝負は、両校に2つの金メダルを与えてくれた。和歌山県信愛附属中学には優勝の金メダル。“礼儀の正しさは日本一”と、北海道新聞が称えてくれた当麻中学校は、学生スポーツとしての金メダルである。
 旭川・札幌・東京・名古屋と進む大学は違っても、当麻中学校で培(つち)かわれた絆は、生涯解(ほぐ)れることを知らないだろう。
 中学校在学当時、栄誉を称えて、当麻町特別表彰を贈らせていただいた。木製の盾には、彼女たちの部訓である“挑戦”の2文字が刻まれている。後日、あの日の感動を彼女たちと共有したく、表彰と同じ盾を作っていただいた。書棚の正面で、私の“挑戦”は、思い出とともにさん然と輝いている。
 町長就任4期目、最終年度の春を迎えたが、甘えることなくおごることなく、まちづくりへ“挑戦”していく考えである。
 泉田歩聖さん・今成菜摘さん・生田花織さん・今野瑠菜さん・坂井楓さん・武信春華さんの行く末に、幸多いことを祈り新たな旅立ちを見送った。

(平成27年3月号・広報とうま掲載コーナー・第131回随筆)