はばたけ おかえり ふる里応援事業(平成26年4月号掲載)

 3月は別れの季節であり、旅立ちの時でもある。町内7つの卒業式・卒園式を終え、迎えた4月は、同じ数だけ出会いの機会が待っている。私の子供の頃は、保育園・幼稚園が無かったので比べ様がないが、小中学校時代を重ね合わせてみると隔世の感である。
 生徒の数は比較にならないほど少なくなってしまったが、どの卒業式も心洗われる場面に出会い、感謝の言葉と礼儀は参列している者の心を熱くさせる。いつまでもふる里を忘れることなく、当麻で学んだことを誇りに、長い人生を歩んでほしいと力いっぱいの拍手を送る。
 町の新しい予算の中で、2つの“ふる里応援事業”に取組むことにした。高校生を応援する“はばたけふる里応援事業”と、当麻町で育ち父母・祖父母が暮らすふる里に戻り、住宅を新築した方に応援する“おかえりふる里応援事業”である。
 高校生活3カ年で15万円の就学支援で、経済環境厳しい時代に学ぶ高校生に、町あげてエールを送りたい。昨年度より、中学生の修学旅行費用も支援しているので、中学3年生から高校3年生まで、トータル4年間の応援事業である。大きくはばたき、いつの日かふる里に戻ってくれることを願っている。
 町長就任間もない日、1人の高齢者の言葉が頭から離れることは無かった。
「大好きな当麻町で住み続け、自分はこの地で終りを迎えたかったが、将来のことを考え少しでも元気なうちに息子のところでお世話になることになった」……話されたあと、お年寄りの瞳はあふれんばかりの涙で光っていた。
 この方の思いが、1人でも2人でも叶えられることを願い、“おかえりふる里応援事業”に取組むことになった。この事業を活用し、父や母の住む、祖父や祖母が暮らす当麻町に戻り、今度はふる里の応援団になってほしい。そんな思いを込めて、2つの事業はスタートする。
 4月1日に姿を現した新公民館まとまーるは、優しい木の香りで私達を迎えてくれる。
 4月に入り、大雪山連邦は一段と白く輝き、その美しさに息を呑(の)む。この町で暮せることに感謝し、いいふる里を後世に残していきたい。

(平成26年4月号・広報とうま掲載コーナー・第122回随筆)