「絵本とバラの花で祝う日」(平成20年4月号掲載)

 4月1日は、役場にとって特別な日である。新年度の訓示・辞令交付式・保育園入園式・各種会合打合せ等々、慌ただしい日程の中で新しい年度はスタートしていく。
 新たな事業として、小学校入学前の乳幼児に絵本とバラの花を贈る事業に取り組まさせていただいた。第1号の方が4月1日にいらっしゃったので、絵本とバラの花をお届けしお祝いを申し上げた。満1歳の誕生の方には私が自宅にお伺いし、2歳から6歳の方には役場職員がお伺いさせていただく予定である。お子様の誕生を祝う日に、文字通り花を添えれる事を大変うれしく思っている。
 人格形成の基礎が築かれるといわれている大切な時期に、お父さん、お母さんがお子さんに絵本の読み聞かせを進めていただけるよう、お子さんの誕生日を契機に子どもの健やかな成長を願う日として、絵本と町特産のバラの花を贈らせていただく事業を開始したのである。
 現在多くの市町村で、お子様の誕生に合わせて絵本をプレゼントする、ブックスタートのサービスに取り組まれている。『赤ちゃんと絵本のよろこびを分かち合おう』という呼びかけで1992年にイギリスで始まり、日本でも2001年からスタートし、自治体の0歳児健診などで、絵本が入ったブックスタート・パックを手渡し、絵本との出会いを促す運動である。
 全国に先駆けスタートされた恵庭市。取り組まれたのは当時市立図書館長の中島興世氏であり、中島さんは現在、恵庭市長を務められている。私は町長就任当時、図書館長だった中島さんからブックスタートに取り組んだ思いを聞かせていただき、ご指導いただいた事をいつも心に留めていた。
 社会の流れが早く、経済原理が先行し、多くの場面が機械的に処理されてしまう現在、親子のふれ合いの大切さは、その当時から十分理解していたはずだが、なかなか形として実施できず、じくじたる思いをしていた。今回、お誕生日プレゼントとして実施できる事は、長年の胸のつかえが取れた感である。
 私や職員がご家庭にお伺いするのは、もちろんお祝いの絵本とバラの花をお贈りするからであるが、併せてお祝いの心をお届けしたいからである。
 その場を見届ける事はできないが、バラの花に見守られ絵本を読み聞かせていただいているバースデーの光景を思うと、目元と心が緩ゆるむ町長室である。

(平成20年4月号・広報とうま掲載コーナー・第62回随筆)