ふるさとのために生かすべき 「ふるさと納税制度」(平成20年6月号掲載)

 ふるさと納税制度がスタートした。三位一体の改革から始まって、国の政策は地方の思いとズレてきている様で仕方ない。
 大都市で生活している方が、かつて自分を育て教育してくれたふるさとにご恩返しをしたい。自分が納めている税金の一部をふるさとに納税し、ふるさとの財源に協力したいとの考えを基に制定されたものである。
 その気持ちに異論を申し上げる気は毛頭ない。どんなに遠く離れていても、ふるさとをこよなく愛する気持ちは、毎年参加させていただいている東京当麻会の集いの中でも十分くみ取ることができる。
 しかし、この制度は極めて心配な要因が含まれている気がしてならない。ご存知かと思うが制度の仕組みについて申し上げたい。誰であっても住所地以外の自治体に寄付した場合、5千円を超える寄付額を、所得税と住民税から差し引くのである。
 例えば、住所地以外の市町村に3万円寄付したとすると、3万円から5千円を差し引いた額、2万5千円がその人の所得税と住民税から差し引かれるシステムとなっている。
 単純に考えると、大都市に住んでいる方がふるさとにご恩返しする時、この制度を活用すると5千円の負担で3万円寄付することができるのである。このことだけを考えれば何の問題もなく麗うるわしい制度である。
 心配は、 ”誰でも全国どの自治体にでも寄付できる” ことにある。そのことにより、全国の自治体がサービス合戦に走り、寄付の奪い合いになる恐れはないだろうか。
 大都市で暮らす皆様がふるさとを心配し、生まれ育った町や村に寄付されることを願うが、逆に税収の少ない町村の住民が、何の関わりもない他の自治体に寄付することも考えられるのである。
 サービス合戦がどんどんエスカレートしてしまうと、協働のまちづくりを進めている地方自治体が、住民の皆様の気持ちをどこまでつなぎとめておくことができるのか、心配の種である。
 納税制度当初の構想は、大都市の住人の住民税を1割程度、出身地などのふるさとに回すはずであったが、大都市の首長の反発を受けて大きくネジ曲げられてしまった。
 行く末を心配しながらも、ふるさと当麻にどんな思いを寄せていただけるのか、ふるさと納税制度はスタートした。

(平成20年6月号・広報とうま掲載コーナー・第64回随筆)