「旅立ちの三月」(平成21年4月号掲載)

 3月、私は町内7つの卒業・卒園式に出席させていただいた。どの式でも、いい顔いい場面に出会い、感動に心打たれる。
 大きな声に満面の張り切り顔、園児の表情は、出席された父母のほほを緩ませる。子育てのご苦労を乗り越え、ピカピカの1年生の誕生を喜ぶ眼差しに、見ている我々の心も和む。
 私の1年間の出席行事の中で、一番つらい場面の一つが当麻中学校の卒業式である。
 毎年同じ様に式は進んでいくのであるが、その感動の量も毎年変わることなく桁(けた)外れに大きい。時間の経過とともに、自らの感情を抑えることができなくなってしまう。
 年を重ねるごとに涙腺が緩んできていることもあり、一苦労する。隣に座わる森議長に悟られまいと、天井を見たり床に目を伏せたりと、感情を抑えることに努めるが、容赦なく涙はほほを伝ってしまう。
 体育祭や学校祭、演劇公演等では青春のエネルギーをぶつけ、卒業式もそうであるが、折々に聴かせていただく合唱は私たちの心を揺さぶる。
 町と友好関係にある公務員職の方も参列され、後日校長あてにこんなお手紙をいただいた。

 「失礼を承知で卒業式に参加した。校長は、本校だけが特別でないと話されたが、全国どこでも同じ様な卒業式だとすると、本当に日本の義務教育はすばらしい。
 卒業式にヒーローはおらず、主人公は卒業生のみならず在校生を含む生徒全員だった。みんな一生懸命で、全ての学校行事がそうなんだろうと思った。一つの卒業式、行事ではなく、大きな大切な教育の場として映った。
 子どもたちにとって、当麻町が大好きになり、当麻中学校卒業生であることに誇りが持てる卒業式だったと思う。卒業生一人ひとりの中に、先生方の愛情が、生き様が、何らかの形で影響を与え続けると思う。
 一生懸命になれる生徒を見て、本当に素晴らしい教育を感じた」との主旨であった。

 卒業生の流す涙に、笑っていた在校生も思わずもらい泣きしていた宇園別小学校卒業式。
 ”1年間、苦しい時が多いが君たちと出会うこの時にそのことは忘れてしまう” 校長の言葉に優しさが伝わってくる。
 ”チャイルドハウスで館長さんに出会えて、私たち親子は世界一幸せです…” 涙にむせび、やっと読み上げるお母さん代表のお礼の言葉。
どの式も実にいい旅立ちである。

(平成21年4月号・広報とうま掲載コーナー・第72回随筆)