「20年目を迎えた石狩川サミット」(平成21年5月号掲載)

 「100年後、北海道の平均気温は4℃上昇し、今の関東地方と同程度になる。100年後というと遠い将来の様な気がするが、みなさんの生まれたばかりの孫が、おじいさん、おばあさんの時代と考えれば、そう遠い将来の話ではない」。強い衝撃を受けたご提言である。
 「お米は間違いなく日本一の産地になるだろうが、雪が降るかどうか想像つかなく深刻な水不足が考えられる」。納得と不安が交差した瞬間であった。
 丹保憲仁教授(北海道開拓記念館館長・15代北海道大学総長)をコーディネーターとする学術シンポジウム「石狩川の未来に向けて」が先月、旭川市で開催され、私も参加させていただいた。
 地表に降った雨水は一部地中へ浸み込むが、地表を流れ川に集まり、再び海へと戻っていく水循環である。そのサイクルは10日ほどといわれているが、石狩川は上流に降った雨が石狩湾に注ぐまで、3泊4日の行程だそうである。地球は「水の惑星」と呼ばれているが、表面の74%が水に覆われており、その大部分が海水であり、我々が直接依存している水資源は川の水、湖沼の水、地下水を全部含めても、地球全部の水の1%程度とのことである。
 私たちは「水循環」の恩恵を受け、ごく当然のごとく、ふんだんに水を利用させていただいている。石狩川上流に位置している我が町、清らかな水は生活用水や農業用水にと、なんの不自由もなく使うことのできる自然の恵みに、改めて感謝申し上げたい。
 道内において、最大の「水循環」の役割を担っていただいているのが石狩川である。石狩川流域の市町村長が一堂に会する石狩川サミットが、平成3年に「自然と人間の共生-川からのまちづくり」をテーマに発足している。2年に1度のサミットをはじめ、シンポジウム、ブロック会議等で意見が交わされている。
 本年は、南富良野町で第10回石狩川サミットが開催される。過ぎ去りし20年、石狩川の整備は進み流れは極めて穏やかであるが、地方自治体は激流の渦に呑み込まれてしまった。そして今、暮らしの安心と食の安全が強く問われている時代を迎えている。
 “都市では一芸で飯が食えるが、地方(農業)では多芸でなければ飯が食えない”。日本再生に、農業の力が必要なことは言うまでもない。

(平成21年5月号・広報とうま掲載コーナー・第73回随筆)