「東京というまち」(平成22年11月号掲載)

 今月末、全国町村長大会出席のため東京へ出張する。
 年数回上京する機会があるが、その都度、あそこに寄りたいあの場所に顔出したいと、地下鉄を渡り歩きながら東京都内を駆け巡る。
 地下鉄階段の上り下り、固いアスファルト上の人の流れに乗った速足での歩行と、一日の終りを迎えるホテルでは足が悲鳴をあげることも度々である。万歩計を付けてみたら、なんと一日1万2千歩を超えていた。当然、私との出張に同行を好む職員は稀である。
 東京には、一駅毎に歴史と文化の足跡が残っている。訪れる度に、過去と今が奏でるまちづくりに心ひかれる。上野には上野の顔があり、渋谷には渋谷の顔がある。浅草・新橋・新宿……と、駅を降りた瞬間に景色と空気がガラリと変わるから不思議である。
 六本木・日本橋・神楽坂と、呼び名もいいが地名の由来を聞くとなお面白い。『東京23区の地名の由来』という本にこう記されている。
 〔秋葉原〕明治2年の大火災後、火伏せの神・秋葉神社を創建したことによる
 〔三軒茶屋〕江戸時代、この地に三軒の茶屋があったから
 〔築地〕1658年、木挽町の海の方を埋め立て土地を築いたところ
 〔池袋〕多くは池があり、その池が袋状に曲がっていたから
 〔馬喰町〕馬の売買をする仲介人(馬喰)が住んでいたところ
 〔丸の内〕堀で囲まれた内側で城の内側という広い所
 〔有楽町〕織田信長の弟織田有楽斎が屋敷をかまえていたことによる
 一目瞭然に由来が分かる地名、由来を聞いて納得できる地名、捉え方は様々でも興味は尽きない。
 いつ訪れても息が詰まりそうな人の数であるが、思っていたより緑が多いことと、限られた緑を大切にしているところはホッとする。
 東京スカイツリーの登場により、最近東京タワーが少し寂しく見える。
 電気のまち秋葉原は、コスプレ衣装に身を包んだ若者色に塗り変えられている。
 浅草にも高層マンション建設の動きが出、地域住民の反対運動が起きていると聞く。
 東京の、これ以上の過密は誰も望んでいない。
 ここに漂う歴史と文化の香りを、いつまでも残してほしいと願う。

(平成22年11月号・広報とうま掲載コーナー・第89回随筆)