「役場は最大のサービス産業」(平成23年10月号掲載)

 中学校時代の同級生Y君が、父親の葬儀を済ませた後、町長室に寄っていただいた。彼からいただいた言葉は、ことのほか温くうれしかったので書かせていただく。
 「父の死後、諸手続きのため役場を訪れたが、対応してくれた職員が親切で、我々が描いていた役所仕事とは雲泥の差があり、感心した」と語っていただいた。
 町長室では、難しい課題が生じたり、苦しい判断を迫られることが度々であるが、この様な言葉をいただいた時の喜びは格別である。
 「農業合同事務所で農地関係の手続きを終わらせ、関連手続きのため役場に来たが、すでに農林課から役場の担当課に電話が入っており、準備書類は整っていた。たらい回しの姿勢はまったくなく、民間のサービス精神と変わらないことに驚いている。東京で生活している家内も、役所でこんなに親切にされたことはないと感激している」と、具体的にお褒めの言葉を頂戴した。
 役場が、来庁者の皆様に親切に対応することは当たり前であるが、職員の気持ちが来庁者の心に届いたことは誠にうれしい。私も、折々に町民サービスの向上について職員に語りかけている。
 「町長として、町民から ”役場の対応が悪い。職員が無愛想だ” との声をいただいた時ほど落ち込むことはない。反対に ”役場は親切だ。あいさつが良く気持ちいい” との声をいただいた時の喜びは何にも変え難い」。
 町民は役場職員に何を求めているのか、年度始めの町長訓示などで話す機会は多い。「職員10人の内、9人の評価が高くても、1人が町民のひんしゅくをかうと、1人のために役場全体の評価が悪くなってしまう。その1人にならない様、職員全員が町民サービスに努めてほしい」。
 「役場を訪れる方は大切なお客様である。いらっしゃいませの言葉で迎え、ありがとうございましたの言葉でお送りしてほしい。あいさつは人間として、職員としての基本である」。町長は選挙で選ばれ、町民の代表だが、町職員の代表でもある。だから、職員の評価は私の評価とらえている。
 行政サービスの最前線で活動する職員から、今日も笑顔とともに、「ありがとうございました」の声が、町民に届くことを願っている。

(平成23年10月号・広報とうま掲載コーナー・第98回随筆)