「一時の開放感」福島県から20名の皆様をお迎えして(平成24年9月号掲載)

 福島から、本年も20名の皆様をお招きし、1週間当麻町でお過ごしいただいた。昨年に引き続いての取り組みであるが、子ども達はプールに屋外活動にと飛び廻り、親達は放射能から開放され、久し振りに身も心もリフレッシュできたと、喜びの声をいただいた。
 大震災・原発事故から1年8カ月経過してしまったが、未だ何ら改善されていない生活環境の話を伺い、驚きと怒りが込み上げてくる。
 1市4町での受け入れ事業だが、ヘルシーシャトーに宿泊しての緑あふれる1週間は、当麻ボランティアの会の皆様のおもてなしを受け、当麻町は人気No.1である。昨年来町された皆様の口コミもあり、6家族の招待枠にもかかわらず、69家族の応募があったと伺う。あそこを見せてあげたい、こんな遊びもさせたいと、過密スケジュールを組み少し疲れさせた昨年の反省を踏まえ、自由時間を多く緩やかな日程を組んでお迎えした。
 「古々米を食べているので、おいしい当麻のお米を楽しみにしていた」 「トマトも、ジュースも本当においしい。こんなにうまいトマトジュースを飲んだのは初めてだ」私達が、何げなく過ごしている生活が、福島の皆様にとっては究極の喜びなのである。
 ある精神分析学者が、こんな話をされていた。「人が死にたくなるほどの絶望に陥ったとき、生き抜くために大切な二つがある。ひとつは、働く場があること、もうひとつは、愛する人がいること」と……。でも今回の震災では、この二つを同時に失ってしまった人が多くいる。
 楽しく過ごす1週間は早い。8月24日、当麻ボランティアの会の皆様と、福祉会館大講堂で送る会を開催した。再び厳しい生活が待ち受けていると思うと、送る言葉も泪色になってしまう。
 頑張っている皆様に、「頑張って」という言葉は失礼かも知れないが、それ以外にかける言葉は見つからない。別れに当たり、お礼の気持ちを色紙に託して寄せていただいた。
 “親はゆったり、子どもはのびのび、親子で心と体の保養ができました。親切にしていただき本当にありがとうございました。” “親子で笑顔になれた1週間でした。ステキな思い出をありがとうございました。”
 バスが見えなくなるまで、「お元気で、お幸せに」と、振る手に願いを力一杯込め、見送った。

(平成24年9月号・広報とうま掲載コーナー・第107回随筆)