平和への願い(平成25年9月号掲載)

 ジャーナリスト山本美香さんが、内戦下のシリアで凶弾に倒れて1年、出口の見えない危機はさらに深刻化している。
「戦場では兵士だけでなく、みんなと同じ子どもたちも命を失います。戦場では、大人だけでなく、子どもたちも戦います。戦場の子どもたちは、自分たちが大人になったとき、もう2度と戦争がおきないようにと願いながら暮らしています。
 そして、無知であることが、戦争への引き金になると知った彼らは、医者をめざし、電気・土木・農業などのエンジニアをめざし学びつづけています。
(中略) そして、これから先平和な国づくりを実行していくのは今10代のみんなです。世界は、戦争ばかりと非難している時間はありません。この瞬間にもまたひとつ、大切な命が奪われているかもしれない…。目をつぶってそんなことを想像してみてください。さあ、みんなの出番です。」
 亡くなる1年前、山本美香さんは世界の若者にこう訴えておられた。
 外国人ジャーナリストがいることで、最悪の事態を防ぐことができると、その抑止力を信じていた。ジャーナリストにとって最も危険な国と指摘されている、シリアで命をかけた取材であった。
世界では、武力紛争があちこちで起きており、戦禍に巻きこまれた痛ましいニュースが連日飛びこんでくる。世界人口の3人に1人は、戦禍に巻きこまれていると聞く。
 戦争の世紀といわれた20世紀が終わり、私たちは平和の光を求めて21世紀を迎えた。しかし、平和の灯(ともしび)は遠くかすんでしまった。世界の人々が、武器におびえない日が訪れるのはいつなのだろうか。
 相田みつをさんの言葉が思い出される。

 うばい合えば足らぬ
 わけ合えばあまる
 うばい合えばあらそい
 わけ合えばやすらぎ

 うばい合えばにくしみ
 わけ合えばよろこび
 うばい合えば不満
 わけ合えば感謝

 うばい合えば戦争
 わけ合えば平和
 うばい合えば地獄
 わけあえば極楽

 21世紀は心の時代といわれているが、相田みつをさんは天上からどんな気持ちで地球社会を見つめているのだろうか。

(平成25年9月号・広報とうま掲載コーナー・第117回随筆)