道内295万戸(全戸)を襲った長時間停電(平成30年10月号掲載)

 9月4日、札幌で町村会の会議が終わり夜の懇談会に出席予定であったが、台風21号が留萌沖を通過するとの予報を受け急きょ、宿泊ホテルをキャンセルし当麻に戻った。
翌日、早朝より強い風に見舞われ、町内でも数多くの農業用ビニールハウスを中心に損害を被った。
 春以降の天候不順と、台風の襲来に心を痛めていた矢先、6日の午前3時過ぎ強い揺れで目が覚め、やがて電気は止まってしまった。
 停電は予想以上に長引き、携帯ラジオからは厚真町を中心とする大地震が発生したこと、停電は全道的な規模であり、復旧までには長時間要することを慌しく告げる。
 早朝より、役場職員はその対応に当たったが、電気のストップにより全ての通信手段が制約され、もどかしさが募っていた。
 町広報車、消防車など可能な限り出動し広報に当たったが、どの程度周知できたか不安の時間が過ぎる。
 経験したことのない長時間停電に、町民の皆さまは不安と困難に直面した。
 唯一の救いは、冬ではなかったことと給水に影響を及ぼさなかったこと。
 私たちが最も心配している厳寒期での停電に向けて、さらに気を引き締めて取り組んでいかなければと、肝に銘じた今回の停電であった。
 あらためて、尊い命を落とされた41名の皆さまのご冥福を祈り、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げたい。
 9月6日の夜、ローソクと懐中電灯を用意して、引き続きの停電に備えていた。
静かな空気の中、隣に住む孫が「爺ちゃん婆ちゃん、お空の星がすごくキレイだよ!」と駆け込んで来た。
 電気の停止により、星がキレイに見えることは直感したが、あらためて眺めた夜空の美しさに息を呑んだ。
 そこには無数の星が瞬いていた。
 孫いわく。「亡くなった人は星になるんだから星の数は多いんだよ」
 まちの明かりが消えると、こんなに星が多くキレイとは思わなかった。
 当たり前にある、電気・水・食べ物が、どんなにありがたく大切なものか考えさせられた日々であった。
 まちに明かりが戻った今、あの夜ほどの星空は見られない。
 震災前と星空は同じでも、災害への備えが同じではいけない。
 喉元過ぎれば熱さ忘れるではなく、いろんな局面を想定した対応を考えてまいらなければと思う。
 便利さは心地良いが、自然と共生する日本の美しさが実感できる生活を考えさせられた時間でもあった。
 開拓126年。自然を愛し古里を愛した先人の志は、この地にしっかりと根付いている。
 自然を敬い、自然の恵みに感謝して生きてまいりたい。

(平成30年10月号・広報とうま掲載コーナー・第168回随筆)