平成最後の「全国戦没者追悼式」(平成30年9月号掲載)

 過ぎ去った8月は、我々日本人にとって特別な月である。
先月号で記念日について記させていただいたが、悲しい過去の記念日が重なっている8月である。
 アメリカ軍のB―29爆撃機により、人類史上初の原子爆弾が8月6日の朝、広島に投下され、一瞬にして14万人もの尊い生命が奪われた。
 犠牲となった多くの人々の霊を慰め、平和を祈る日として、広島市ではこの日を「平和記念日」と定めた。
 9日には長崎にも原子爆弾が投下され、7万人もの尊い命が奪われている。
 この日を「ながさき平和の日」と制定し、世界平和を祈っている。
 73回目を迎えた広島平和記念式典で、市内の2人の小学生が、「平和への誓い」を強い思いを込めて宣言された。
 『人間は、美しいものをつくることができます。
 人々を助け、笑顔にすることができます。
 しかし、恐ろしいものをつくってしまうのも人間です。
 (中略)
 平和とは、自然に笑顔になれること。
 平和とは、人も自分も幸せであること。
 平和とは、夢や希望を持てる未来があること。
 (中略)
 平和への思いを折り鶴に込めて、世界の人々へ届けます。
 73年前の事実を、被爆者の思いを、私たちが学んで心に感じたことを、伝える伝承者になります。』
 平和を願う純真な気持ちが心を揺さ振る。
 世界中の大人に、政治や企業のリーダーに、この言葉が届くことを願っている。
 昭和20年8月15日、3年8カ月に及んだ太平洋戦争が終わり、天皇により戦争終結の放送がなされた。
 毎年この日に「全国戦没者追悼式」が挙行され、「戦没者を追悼し、平和を祈念する日」と定め、正午の時報に合わせ黙とうを捧げている。
 本年は、今上陛下にとって最後であるとともに、平成として最後となる全国戦没者追悼式が挙行された。
 平成天皇は万感の思いを込めてお言葉を述べられた。
 「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願う。」
 長い時間、深くこうべを垂れる両殿下のお姿に、その願いを読み取ることができる。
 このお気持ちは、戦後生まれの新天皇・皇后へと受け継がれていくことでしょう。

(平成30年9月号・広報とうま掲載コーナー・第167回随筆)